2018.7.30 第41話
風を感じろ!
イラストはヨットマストの風向計。
「風は呼吸しているからね!」先日、友人に誘われてヨットの舵を握った時の船長の言葉だ。「風の息づかいを感じろ!」と。いい言葉だと思った。
予定していた、二人っきりのシーカヤックツーリングも、天候がはっきりしない。お昼頃から風も出そうなので、朝早くに出て午前中早めにに上がろう。ということになったのだが、その相棒が「ヨットが、11:00に出港するんですが、田中さんもいかがですか?」と。「それはいいですね〜!」風が出るんだから!ヨットはいいんじゃない!と何の予備知識もないままノコノコ付いて行ってしまった。
マリーナに停泊しているたくさんのヨットやクルーザーの中の少し大きめのヨット。
39フィートの外洋船とのこと。船長のI川さんに挨拶すると、いきなり、I川さん:「ではどこまでやりましょうか?毎週来れますか?」と。
そんな心構えも、意気込みも、思い込みも全くないままただ来てしまった自分に反省しながらも、papa:「えっっ!?あの!そうですね!?ただ乗せて頂くというよりは、教えていただけるなら、、、、」I川さん:「いいですね〜〜!」「では、デッキに出てください。」と早速のレクチャーが、問答無用!で始まった。
これがマスト、メインセール、ジブセール、ブームに頭を叩かれないように!ヨットが風を前から受けて前に進む仕組み。揚力。真正面には進めないデッドゾーンのこと。デッキの上では常に固定ロープにハーネスで繋がって行動すること。
はい!では、ジブセールを張ってみましょう。ロープワークと固定の仕方。はい。巻き取り〜〜!もっと引いて〜!次はメインセールの張りと巻き取り。息つく暇など全く許されない。
もやいロープの外し方結わえ方を一度きり教わって、出向だ。瞬く間に沖に出た。
今度は、風速計、風向計、受ける風向とセイリングの種類。頭を叩かれるように新鮮な言葉が飛んでくる。I川さん:「今、風速16ね。ちょうどいいね。」papa:「秒速ですか?」I川さん:「海はノットね。秒速だとほぼ半分。8m/sくらい。」I川さん:「はい!田中さんも舵とってみよう!」
いきなりpapaも舵を取らされた。I川さん:「ジブセールが風をしっかり受ける角度を探るの!」「そうそう!いい筋してるよ!30年代(昭和30年代生まれ)は勘がいいのよ!」I川さんはpapaの二つ先輩らしい。
だいぶ慣れてきた。何かが掴めたような。風をしっかり捉えると、舵がビーンと張ったような気がした。マストのテッペンの風向計を見ながら、風が右前方45度くらいの位置を探る。一定しない方向と強さに翻弄されていると、、、
I川さん:「風は呼吸しているからね!」「肌で感じろ〜!頬骨にあたる角度!」白曇りの空が一気に青さを増してきた。波しぶきがキラキラ飛んで行く。なんて夏だ!
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