2018.9.3 第46話

Tomteくん

23話で少し書いたお話だが、ようやく嫁入り?(婿入り?)できそうな「トムテくん」です。
 
お米が主作物の農家さん。「株式会社 ○○センター トムテ」。看板の製作を依頼され打ち合わせに伺うと、社名に「トムテ」をつけた由来をお聞かせいただいた。papaは「サンタさんの分身のようなかわいらしいお人形」くらいにしか認識していなかった「トムテ」だったが、実は、北欧に伝わる「農家さんの守り神的妖精」とのこと。スウェーデンではTomtar、英語でTomte、ノルウェーとデンマークでは ニッセ(nisse)、フィンランドではトントゥ(tonttu)と呼ばれるらしい。
 
先代のお父様が、この「トムテ」を社名につけ、営農繁栄に願いを込めたとのことだった。看板のどこかにこのトムテを入れて欲しいとのことで、少し考える時間を頂き、後日ご提案させていただくことに。
 
調べてみると、いろいろな「トムテ」があるようだが、イラストやシンボルマークにして看板に入れるのも、どうもしっくりこなかった。もっと、「守護神」としての「実態」が欲しいな。平面ではなく、立体としての形あるものがいいと思った。その農家さんの家族を田んぼを納屋を見守ってくれる「実像」だ。
 
作ろう!木で作ろう!プラスティックとかFRPとかではなく「北海道の木」で作ろう!木材屋さんに相談したところ、少し硬めの広葉樹がいいだろうとのこと。土場まで赴き、直径50cmの丸太を選んで、60cmくらいにカットしていただくことになった。土場に転がっているのだから、山から切り出したばかり。ズブズブの水浸し状態だ。作りながら(削りながら)自然に乾燥させてゆくのだが、「割れ」が心配なので、「背割り」をしていただくようにお願いした。後ろに芯に届く「割れ」を入れていくことで他の箇所にひび割れができるのを防ぐのだ。
 
一週間後にトラックに乗せて届いたのだが、100kg強はあるだろうか?一人では全く動かせない。届けてくれた運転手さんと雪の中を転がしながら、やっと所定の位置に置いた。少し陽のあたる玄関前だが、まだ3月。雪の中での作業が始まった。
 
チェンソーで荒取りをしてゆく。このサイズの木彫は経験がない。前後左右の実寸型紙を作り、これを当てながらカットしてゆく。チェンソーはそんなに長く使えない。細かい作業になるのでなおさらだ。(白蝋病?になりそうなのだ。)結果、この作業が、丸3日。徐々に形になってゆく。あとは、数種類の鑿(のみ)を使って、コツコツ削ってゆく。まさに、「コツコツ」と。
 
チェンソーでのカットは、かなり大胆に落として行ったのだが、大まかな形が見えてきても一人で運べる重さではなかった。のみを使う段階に入って、やっと、24〜5kg。20kgを切って、やっと室内に入れた。その後は重量に関わるほどの彫り込みではないのだが、どんどん水分が抜けてゆく。1週間で、1kgは軽くなってゆく。木の中の水分が抜けてゆくのだ。色もどんどん明るい色になってゆく。室内に持ち込んだときは、19.6kg。ほぼ完成して現在、9.6kg。身長52cm。
 
先週、農家さんに、トムテくんをお持ちして、ご家族それぞれに一刻みづつ「のみ入れ」をしていただいた。「魂」が入った。本日、看板のベースを設置してきて、トムテくんを受け取ってきた。着色して、来週、看板の上に設置します。6ヶ月越しのお仕事です。祈健康安全豊作繁栄。
 
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