2017.12.25 第10話

ナカガワ部長が来た。

窓際で先輩クリエーターたちの会話。「ナカガワさん、最近いらっしゃらないですね。」「そろそろじゃないですか。」西武旭川店広告制作室VISIONの12月半ば過ぎ(でも23年ほど前、バブルの頃)の話だ。
 
このVISIONのクリエーターはちょっと訳ありだ。夏のアロハの話ではなくて、ポジショニング。ちょっとややこしいが、papaが所属していたのは「北海道たき」という広告プロダクションで、全国に「たきグループ」なるものがあって、南は「九州たき」まで。クリエーターばかりが、1,000人もいる髭のおじさんたちばかりのキモチワルイ会社なのだ。観楓会とか社員旅行は一流どころのホテルを貸し切るのだが、大体が「どういったお仕事の会社なのですか?」と従業員さんに聞かれる。
 
話が逸れたが、クライアントからの発注を受けた電通の依頼でプロダクションの「北海道たき」から旭川西武に「体ひとつ」で出向しているというポジション。で、所属は?「北海道たき第二制作部」。本社は札幌。そう!その第二制作部部長が「ナカガワさん」。札幌、旭川、函館の流通関係の制作部隊が主体の組織だ。当時、デパートはバブル全盛期。12月に入ると流通(デパート)の販促は狂気と化す。年末商戦クリスマスお歳暮ギフトに新春セール福袋ワンニャン大集合催事場企画のシャワー効果販売大策戦・・・。11月末から12月のクリスマス前あたりまでは、自宅に帰らない販促マン達で、事務所は不夜城と化すのだ。
 
VISIONのメンバーも一心同体で、それをやっと乗り越えかかった頃なのだ。「第二制作部」は会社の「稼ぎ頭」だった。そろそろ「ねぎらい」にいらっしゃる頃なのだ。濃紺のスーツに渋めのネクタイ、黒革のトレンチコートの襟を立てて、、、「お疲れさん。」とVISIONに入ってくる頃なのだ。ま〜、だいたいその前に、すぐ下の公衆電話から「Uさんいる?」と渋い声で電話をかけてくるのだ。ディレクターのU田さんに「みんな飯食える時間ある?」の打診だ。
 
スタッフ全員が即座に自宅に電話をかけ始める。交代交代で、「ナカガワ部長が来た。」「ナカガワさんがいらっしゃった。」「すぐに出てこれる?。」「飯の用意はしてしまった?」「まあまあ、とにかくタクシーを呼んで。」妻たちを呼び寄せているのだ。30分と経たず、スタッフの奥様たちが全員そろう。「お世話になりま〜す。」ナカガワ部長を先頭に買い物公園を1条から、3・6へと向かう三角形の集団。さながら、大門率いる「西部警察」(笑)寛大で素敵な時代でした。
 
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