2017.11.13 第4話

アロハday

やんちゃ?だったのか?演じていたのか?
 
いや!「普通」であることを意識的に避けていたと言った方が正しいかもしれない。旭川西武広告制作室VISIONのメンバーもそんなだった。
 
「たなか君!クリエーターは自由な発想を持ってなくてはいけない」「クリエーターは、中性でなくてはいけない」「クリエーターは慣習にとらわれてはいけない」etc….いつも常に、広告・デザイン・コピーのことばかり考えていた。何がおもしろいのか!何がユーザーの心に届くのか!!!なので、残業などという概念もなかった。夜中帰宅はもちろん毎週の入校前は当然徹夜。朝帰って仮眠、お昼頃出勤して、コーヒーを飲んで、クライアントとの打合せ待ち。待ちが長くなりそうで「お昼いきますか〜」と。生ビール付きランチ。
 
そんな飛んでる日々の中で「おかしなキマリ」があった。「アロハday」だ。夏限定ではあるのだが、毎週火曜日はアロハを着て出勤しましょう!というのだ。ほとんど強制的に。先輩のディレクターとコピーライターが決めたのだが、当時、西武は木曜定休。その木曜日の地元新聞の夕刊に大きな広告を打つので、水曜入校締め切り。つまり火曜日は猛烈な日になるので、アロハでも着てフラットな気持を保とうというのだ。僕が入る前には、事務所内をローラースケートで移動していたという若いデザイナーも居たらしく、販売促進課の上司の方たちも「彼らは自由にさせておきなさい。」という具合だった。
 
ところが、「クリエーターという括り」を認めてご対応いただいている方達の中では「通る話し」なのだが、世間一般ではそうはいかなかった。出勤時に通る裏道の一時停止。止まっているはずなのに警官に停められる。黄色いヤマハタウニーという50ccバイク(「いいなぁ~これ」「いいでしょ!!これ」の)、あの頃はノーヘル、白いコーデュロイの短パン、裸足にモカシン、黄色のアロハ。
 
ーー 警官:「ちょっとよろしいですか?どちらに行かれますか?」−− パパ:「これから出勤です。」ーー 警官:「お昼から出勤ですか?アロハで?お仕事は?」−− パパ:「デザイナーです。今日は、アロハdayなんです。」ーー 警官:「ア・ロ・ハ・デ・イ・・・????」「ちょっと交番までご同行いただけますか?」
 
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